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犬の膝蓋骨内方脱臼

 人間と同じように犬にも膝蓋骨(膝のお皿)があり、正常では大腿骨の溝に常に乗っています。膝蓋骨内方脱臼はわかりやすく言うと、膝のお皿が内側に外れてしまう病態です。ちなみに外側に脱臼してしまうのを膝蓋骨外方脱臼といいます。

 原因としては先天性と外傷性が考えられます。先天性としてはトイ・プードル、チワワ、マルチーズといったトイ犬種と柴犬でよくみられる整形外科疾患です。遺伝的要因があることは認識されていますが、発症要因となる原因(遺伝子因子、遺伝様式等)は明確にはなっていません。
症状は軽度であればほぼ無症状なこともありますが、症状が出ると違和感や痛みから足をあげることが多くなったとか、よく足を後ろに伸ばすといった症状から飼い主様が気づかれると思います。
また、この疾患を習慣的に患っているワンちゃんは中高齢(5~10歳)になると前十字靭帯(膝の中にあります)を切ってしまうということもあり、日常生活に支障がでてくるケースもあります。

病態を評価するうえで、下記のような4段階に分けて評価する方法があります。

  • グレード1:手で押すと脱臼するが、手を離せば元に戻る
  • グレード2:膝を曲げたり手で押すと脱臼するが、足を伸ばしたり手で押すと元に戻る
  • グレード3:常に膝蓋骨が脱臼していて、手で押すと戻るが離せばすぐ脱臼する
  • グレード4:常に脱臼していて、手で押しても戻らない。

どのグレードから手術が必要かはいろいろな考え方がありますが、一般的には症状が出ているグレード2以上のワンちゃんが手術適応になることが多いと思います。

診断は触診とレントゲン検査がメインになります。
脱臼していると正面からレントゲンを撮影すると、写真のように膝蓋骨が内側にずれています(黄色い丸の中央が膝蓋骨です写真1)。


写真1

術中写真1

 ここから手術写真も載せますので苦手な方はスルーして下さい。手術は全身麻酔、術野消毒を行い膝関節にアプローチしていきます。術式としてよく行われるのが、膝蓋骨がのっかっている大腿骨の溝を形成しなおす滑車造溝術と、膝蓋靭帯が付着する脛骨粗面を動かす脛骨粗面転移術になります。
簡単にいうと、膝蓋骨が本来あるべき位置の溝を掘りなおし、膝蓋靭帯が付く場所をずらすことで、内側に外れないようにする手術です。写真の子は症状がでて比較的早期に手術をしたため関節軟骨も比較的にきれいですが、黄色の丸部分がよく見ると削れています(術中写真1)。

溝を作りなおす際は関節軟骨を温存するのが現在は一般的になっています。術中写真2、3のように整形外科器具の骨ノミやドリルを使用し、関節軟骨を残し造溝します。
この後、必要であれば膝蓋骨は膝蓋靭帯につながっているため、付着部である脛骨粗面を移動することもあります。最後に縫合を行い終了となります。術後はレントゲンのように正常な位置にもどっているのを確認します。
ちなみに骨を貫通しているのはピンです。


術中写真2

術中写真3


固定の材料、本数は色々ありますが、この子はピン1本でずらした脛骨粗面を固定しています(写真2、3)。
手術後は5~7日くらい入院してもらい、術後10日から14日目くらいで抜糸になります。


写真3

写真4

 みんな全く同じ術式とは限らず、少し変えることもありますし、他の先生だとまた違ったアプローチややり方もあるかと思います。説明した内容はあくまで当院でのひとつの例になります。

 当院ではグレード2~3については手術を行っていますが、特殊な病態、骨の変形がひどく特殊な手術技術の必要、もしくは飼い主様が専門医での治療希望されているワンちゃんについては整形外科の専門医がいる二次診療施設にご紹介させていただくこともあります。
文章だけですと伝えきれない内容もあります。気になることがありましたら、かかりつけの獣医師に直接相談するのが一番と思います。

Tel.046-290-5575

あおき動物病院は、犬・猫など小動物専門の動物病院です。特に「腹部外科」や「腎泌尿器疾患」(尿結石や腎臓病、腫瘍など)に力を入れ診療を行っています。
結石・血尿・頻尿、おしっこが出せない・会陰ヘルニアなどの症状は是非ご相談ください。

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